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【ハイキュー!!】排球人生死愛箱【ハッピーシュガーライフ】

第13章 それを得る為に彼は息子を捨てた


『叔母さん、この人誰』

未だ変わらず悪臭を漂わせる異質な部屋に#れいか#と叔母。そして、叔母の隣にいる穏やかな表情を浮かべるスーツ姿の男性。黒髪で少しつり目だが、穏やかな表情のおかげて少し和らいで見える。
少し眉を顰める#れいか#に叔母は口角を上げる。

「ふふっ、保護者がいたほうがいいと思って」
「始めまして、鏡大樹です。……まさかこんなにもお綺麗な人がいるだなんて思いもしませんでした。これから保護者の身になりますから、何かあれば直ぐ聞いてください。力になります」

その自己紹介だけで#れいか#は十分と何の話か理解することが出来た。きっと前に話していた引越しの話だろう。保護者の身、となると#れいか#の叔母は一緒に引っ越すということでは無いという。然し#れいか#は初めから分かっている。立場がそうだ。叔母には色々なものがこの家にやってくる。固定電話は家に一台あるものの殆ど使わず、埃が被ってあるほどだ。

『……苗字とか、どうするつもりなんですか』
「あらぁ、そんなの気にしなくて大丈夫よ。この人社会ではある程度名のしれてる人らしいの。偽名になるけど、いいわよね?#れいか#ちゃん」
『……そう』
「でも寂しくなるわぁ、#れいか#ちゃんがたまに作っているお菓子、とぉっても甘かったもの」
『……』
「ウフフ、明日飛行機出発だから今日準備するのよ」
『は?飛行機?』
「僕が住んでいるのは宮城なんですよ。少し家庭環境は変わると思いますが……」
『……いえ、大丈夫です』

少し予想以外だったのか、聞き直す#れいか#に鏡はまたもや微笑みながら言う。

「では当日迎えに来ます。あ、別に服とか大事なものがあれば持っていても構いませんが、此方ではお金に困らないのでなんでも言ってくださいね」

そう微笑めば、#れいか#はお礼を言い、そのまま部屋の中に入っていった。


「……でも、どうして貴方は一緒に僕の元へ来てくれないんですか?」

#れいか#が去った後、鏡はそう言いながら叔母を抱き締める。

「だってここは皆がくる場所だもの……ここは愛の場所なの」
「そうですか……いえ、深くは望みません。貴方との繋がりがあの可愛らしい娘ならば、僕は喜んで保護者となります」

沼に溺れ込むように、男と女は床に倒れ込んだ。
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