【ハイキュー!!】排球人生死愛箱【ハッピーシュガーライフ】
第8章 孤爪研磨くん、誕生日おめでとう
暗い雲が空にちらつく。午後6時半、#れいか#は淡いピンク色の可愛らしいトートバックを肩にぶら下げ、暗い道を歩く。けれど、徐々に家の灯りが増えていき、家族の笑い声が聞こえてくる。
そんな家の前を通り過ぎ、五分程歩けば、一つの一軒家のインターホンを鳴らす。
《「はーい」》
『松坂です』
出てきたのは孤爪の母。#れいか#だと分かると、嬉しそうに#れいか#ちゃん!と言う。そう言うと周りから#れいか#来た⁉等と騒がしい声が交わる。
《「ドアは空いてあるわよ~!」》
有難う御座います、と感謝の言葉を言えば、ガチャっとモニターの切れる音がする。家に上がろうと左足を歩めば、家の中からバタバタと激しい音がなり、先にドアが開かれる。
「#れいか#~!遅えよお前!旦那が待ってるんだぞ⁉お風呂にする?ご飯にす──」
「……#れいか#!早く上がって!……あとクロ、ここ俺の家だから」
冷たい目で見てくる孤爪を無視し、黒尾は#れいか#に近付く。抱き着こうとする黒尾の顔を掌で抑える。
『はいはい、落ち着いて。……えっと、研磨、誕生日おめでとう』
「……う、うん……ありがとう……」
真正面から微笑みながら言えば孤爪はその微笑みと言葉に恥ずかしくなったのか顔を少し下に向け、赤い顔を隠しながら返事をした。
「えっ?俺の時そんな顔してないよね……?」
「毎年同じじゃん」
「でもちょっとは照れろよな!」
「……まぁ、ありがと」
#れいか#の前なのか単にそんな気持ちなのか、孤爪は素直にお礼を言う。
『取り敢えず中入らない?』
#れいか#の一言で、二人は#れいか#の手を引き、家の中に入れる。
リビングに行くと、黒尾と孤爪の両親がダイニングテーブルに座っていて、#れいか#の姿を確認すると分かりやすく喜びを顕にした。#れいか#もそれを一つ一つ丁寧に挨拶をしていく。
ケーキや#れいか#の手作りアップルパイ等、子供と大人で別れ会話を賑わう。
黒尾と孤爪は、大人達が話しているダイニングテーブルとは離れたこたつに足を入れて誕生日プレゼントを渡していた。
『はい、どーぞ』
「ありがとう……」
黒い袋の中に入っているものを、孤爪は開ける。中には黒のペンケースとタオルが入っていた。
『研磨の筆箱、最近壊れてきてたでしょ?タオルは部活とかね』