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八重歯と稀血

第4章 肆.命ある限り ※





「だからお前ら痣者はちゃんと克服しろ」

「任せとけェ」

「まずは各自、体調を万全にすることからだな」


そう言う悲鳴嶼さんを煉獄と宇髄が二人でベッドに横にさせ、その二人も近くにある椅子を持ってきてちょうど真ん中ら辺である俺のベッドの前に腰をかけた。

そして深々と頭を下げ、代わりに戦ってくれてありがとう。生きて帰ってきてくれてありがとう。なんてらしくない事を言っていた。

それを聞き竈門は泣くし、それにつられて甘露寺も泣くしも目を更に潤ませていた。


それから治療も一段落し、盛り上がっている会話の最中に部屋を変えるわけではないが人の寝る場所を変えるということで移動が始まった。

真ん中で男女別学に分かれて寝る時などは仕切りを置くようだ。


「男女比がなァ……」

「あぁもう野郎の方なんかむさくるしくて見てらんねぇわ」

「俺は早く治して退院する。
こんなやつらと四六時中一緒にいたら気が狂いそうだ」


、甘露寺、胡蝶、胡蝶の継子はこちらをニコニコと笑いながら見つめている。
いいな……なんかこっちの列とは大違いで。


「なんか、こういうのいいですね!」

「まさに天国と地獄……」

「腹減った」


移動の時にわざわざ俺の隣に来た玄弥は黙って小っ恥ずかしいのかモジモジしながら座ったまま何も言葉を発さなかった。
そういう俺もいざとなるとどんな態度をとっていいのか分からない。


「お館様よりお手紙ですよ」


胡蝶姉が紙一枚を嬉しそうに取り出し、皆がお館様!と身を乗り出すほどその手紙に注目する。

胡蝶姉が読み上げた内容には、労いの言葉と感謝の言葉が詰まっていた。
最後に、元も含め柱とは回復し皆が揃い次第、柱合会議の予定を通達するとの事だった。


「早く治しましょう!そしてお館様に元気な姿を見せるの!」

「そうね、甘露寺さん」

「しかしゆっくりでいいとお館様が仰っていたからな。皆休めるだけ休め!」

「退屈しないように毎日きてやんよ」

「暇なことで結構だな」


それからまた会話もはずみ、皆で賑やかに過ごしていたが鬼の話に触れることはなかった。

平和な世の中が訪れた。

この光景を目にしてようやく実感したのだ。



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