第3章 参.役に立たない誇り
「あ、そうだ冨岡さんのこと忘れてた」
「まだ日が沈む前だし行ってみっか?
ちょうど俺も柱稽古の一環であいつと手合わせしとかねぇと。
最近腹立つからメッタメタにしてやる」
「いつものことでは?」
「いやいつにも増して」
「じゃあパパっと行っちゃいましょ!」
そうと決まれば!といったふうに急いで立ち上がる。
確かに日が沈む前に屋敷に戻っておかなければならない。
そうして急いで行った冨岡の屋敷に着くなりが帰ってきたことを報告すると、相変わらずの無表情ながら少し顔が緩んでいたようだった。
「じゃあわたしここ座ってますから」
木刀を持ち、無表情のこいつの前に立つ。
今までの事を思い出し妙に腹が立ってきた。
ほんと何様だァ…。
の他に……竈門あのクソ野郎も見てやがんな。
そして技を出し合った時、耐えきれず木刀が折れた。
「よォしじゃあ次は素手で殺し合うかァ」
「待った待った待った待った!」
「おめェうるせんだよォ…大体接触禁止令が出てるっつってんだろ」
「おはぎの取り合いですか?」
「ふざけてやがんなァ…!」
改めておはぎ好きを、しかも冨岡の前で言われ、冨岡も冨岡でそうか、おはぎが好きなのか…と妙にこちらを見つめてきやがる。
しかし竈門がめちゃくちゃ喋ってくるので、腹たって思わずぶん殴る。
その異変に気付いたがやってきて、「何?」と困惑気味に首を傾げていた。
「もう行く!うぜェ…!」
「あ、ちょ、えっ? じゃあね冨岡さん」
ズカズカと歩いて進む後ろを着いてくる。
何どうしたの?と聞いてくるが腹が立ちすぎて言葉にもならなかった。
ーーカサっ
「!」
の反応と同時に素手で掴み取る。
「なんだこれはァ…」
「……これ、鬼の目、」
明らかに動揺する。
「これ、見られてるんじゃ……まって、場所が把握されてる? おかしい」
「落ち着け」
「産屋敷……!」
その瞬間、鎹鴉が酷く鳴く。
ーー緊急招集!産屋敷邸、襲撃!と。
二人で何かを考える前に汗を垂らしながら産屋敷へと今までにない速度で走っていく。
間に合え、間に合え……!