第3章 参.役に立たない誇り
「……言ってる意味が分からねェ」
「分からなくてもやらなくては…不死川さん!!!」
「不死川!!!!!」
「ガァァァァ…ッ!!!」
カッと目を開け、首を捕まれ凄まじい速さで木に打ち付けられる。
首から手を離さないまま固定されるが、呼吸でなんとか息を保ち、思いっきり力を込めて自分の手をの手と自分の首の間へねじ込む。
「ぐ…っ、……!わ、るかった…!」
「フーッ…フーッ…」
「早く抑えてください!!!」
皆が一斉にへ飛びかかろうとすると、俺を抱えて木々をくぐり抜けていく。
「追いつけないわ…!」
「不死川さん!抑えてください!」
「んな事言ったってよォ…!」
そのまま地面へ打ち付けられると同時に口をあけかじりつこうとしてくる。
竈門妹を思い出した。
鞘ごと引き抜き、それを口に噛ませる。
おかげで思い切り打った背中に鈍い痛みが走った。
「…お前が鬼になったら…誰が殺せんだよ…」
「フーッ……!」
大きな目からボロボロと涙がこぼれて俺の顔に流れてくる。
初めて見た泣き顔が、これか…。
それと同時に無くなった片腕が生えてくる。
より一層力が強まった。
「落ち着け、竈門の妹が鬼だが人は喰ってない…
だからお前も大丈夫だ…殺さない…だから人を襲うな。な?」
返事こそしないが、涙を流しながらジーッと俺の目を見つめてくる。
まるで話は聞いているような……。
「つらいよなァ……大丈夫だ、俺がいる…」
ミシミシ鳴っていた俺の鞘に加わる力が少しずつ弱まる。
大丈夫だ、こいつなら、今もこうして話を聞けている。
後ろから気配を消して胡蝶が助けようとしてくれていた。
興奮状態からか全く気付きそうにない。
刀は抜いていない…殺さないよな…任せてもいいのか…?
俺の力がもう限界に近い。
殺さないならなんでもいい、助けてくれ…。
胡蝶がサッと一気に距離を詰めると同時にが気付き、払おうとするがそれを避けると同時に何かを投げつけ首に命中する。
針だ。
「ガッ…ァァァ…!」
「麻酔のようなものです…」
はそのまま意識を失い、俺の上にドサッと覆いかぶさった。