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八重歯と稀血

第1章 壱.一目見たその時から




「明日の任務、ちゃんと無事に帰ってこいよォ」


このまま二人で組んで任務をするのも悪くはねぇし、怪我しても生きて帰ってくればそれでいい。
そしたら退屈しねェように伊黒や宇髄、煉獄と…男だらけじゃむさ苦しいな。
甘露寺や胡蝶を連れて屋敷に遊びに行けばいい。


「……なんか良くない前兆みたいな感じするからやめてくださいよ」

「や、そういう意味じゃねぇよ」

「分かってますけど」


煉獄がいるから恐らく怪我もせず帰ってくるだろうが。

そうして屋敷までを送り、自分の屋敷に戻る前に産屋敷に顔を出す。


「……煉獄は、いねぇか」

「あーさっきまでいたけどな。
明日大事な任務だろうからもう戻ったんじゃないか」

「だよなァ」

「も一緒に行くことになったんだって?
あの二人なら鬼舞辻無惨でもド派手に倒せそうだな」


バカでかい声で笑いながら喋る宇髄。
それくらい実力を信用されている二人だ。

一緒に行くことは鴉を使って手紙を送ってたようだから、見ていれば煉獄も知っているだろう。

犠牲になっている人数から十二鬼月がいるのは間違いないとして、問題はそのどいつかって話だ。

まさか上弦の壱とかが出てくるわけはないだろうが…油断ならねぇ。
そして上弦の実力すら分からねェ。

煉獄との二人で歯が立たないとなれば話は変わってくる…。
だが俺が戦った下弦の壱ですら一人は無事で帰れなかった。


「まァまァそんな深く考えんな」

「あ?」

「そんな顔して悩むくらい大事なら早く告白でもなんでもしろよ」

「そんなんじゃねェよ」

「えっ、嘘だろ?」

「は?」

「……お手上げだわ」


二年も三年も見守ってやったっつーのに…と呆れられている。
だから最近やけに周りがうるせぇのか。
勝手に痺れ切らしやがって。


「俺は俺なりに大事にしてるつもりだからそれ以上はいいだろォ。
とやかく言うんじゃねェ、そしてベタベタすんな」

「……地味に矛盾してんだよなぁ」

「あ?うるせぇよ。じゃあな」


これ以上変に突っ込まれないよう、その場を後にした。
明日は俺も任務がある。
今日はゆっくり休もう……。


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