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八重歯と稀血

第1章 壱.一目見たその時から





「お、えっ?…じゃないか?こんな所でなにをしている?」

「……小芭内?」


サラッとした髪からいい匂いを振りまきながら空を見つめるその女。

柱合会議のために産屋敷へと訪れた俺と伊黒はその女を見つめた。
どうやら伊黒は知り合いのようだ。

しかも珍しく相当驚いている。


「なんか呼ばれて、じんぐりじんぐり隠の方が連れてきてくださって、わたしもよくわかんないけど」

「鬼殺隊に入ったとは聞いたが…何かやらかしたのか?
というより俺は気にかけて文を送っているのに何故返事をしない?」

「それはごめん、忙しくて」


本当に珍しいものを見たな……。
思わずギョッとして伊黒を見ているとその目線に気付いたようで、二人揃って目線を俺に向けてきた。


「わたしは先に屋敷にあがるように言われてるから…またね」

「あ、あぁ…」


生気のない女だ……。
目に光はねぇし、殺意も覇気も微塵に感じねぇやつだった。


「誰だァ?」

「昔の知り合いだ、気にするな」


そう言い残し先に歩き出す伊黒。
俺が柱になったあとすぐにこいつも柱になった。

同い年で、性格は正反対と言われそうだが何となく気は合うやつだと思った。

まだ会ってそんなに経ってねぇが、こんな態度をするのは初めてみた。
しかもこいつ、相当女嫌いだよなぁ。

まぁいいけどよ……。


しばらくして柱合会議がはじまった。
お館様のお話がはじまり、皆黙って聞いていた。


「みんなに紹介したい人がいる。
、おいで」


と呼ばれて現れたのは、先程の生気のない女だった。


「この子の階級は乙。
そして鬼を倒した数は悠に50は超えているし、下弦の弐を倒した子だ。
先程話し合い、柱として鬼殺隊を支えて欲しいと思っていたんだが、残念ながら断られてしまってね……。」


「なっ……」


隣にいる伊黒が反応する。

え、柱になることを断るのか?
つーかお館様に言われて断れんのか…?すげぇやつ……。


「柱も空席があるが、私はの意思を尊重したい。
だが実力としても柱としては申し分ないし、階級はこれより甲とする。
柱ではないにしろ、皆と肩を並べる者として皆で仲良くしてほしいと思って紹介したんだよ」

「です。よろしくお願いします」



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