第15章 風見鶏の家
忍びの世界では、親と死別して一人で暮らしている子供も少なくない。
下忍として働き出すと給料が出る、というのもあるが、それにしてもこことは大違いだ。
考え込んでしまったわたしにアンナさんが言葉を続ける。
「忍の世界のことはわたしにはわからないけれど、決して手厚くないと思っているわ。
16歳になり体は大きくなっても、心はまだ成熟していない。
行ったり来たりしながら少しずつ大人になっていけば良いのよ。」
包み込むような眼差しが三代目のようで、思わずアンナさんに見入ってしまう。
その後も、たわいの無い話をしたり、子供達と遊んでいると、帰れるくらいには乾いた服をアンナさんが持ってきてくれた。
なぜかこの場所が気になって後ろ髪を引かれる思いもあったが、任務の報告もあったから、私たちは改めてお礼を言って風見鶏の家を後にした。