第4章 未来なんて【ジェイ監】※微裏(裏)
「すみません…もう帰らないといけないみたいで…」
「いえ…、…!」
ジェイドさんは荷物を置くと私の右耳に付けていたイヤリングに触れた。
「あ、見つけたんですよ。ずっとポケットに入ってたみたいで」
「…よく、お似合いです。…とても」
「本当にごめんなさい。大事に出来なくて。…ありがとうございました」
「いえ。いいんです。ではこれを」
「…?なんですかこれ」
手渡されたのは小さなオルゴールのようなもの。
そして、小さな箱。
「皆さんからのプレゼントをこの中に入れてあります。添えたカードに書いてある言葉を言うと一つずつ見れますから」
「すごい…!ありがとうございます!」
「いえ…では、お元気で…っ」
ジェイドさんが涙を零した。
「…はい、さようなら」
私も、涙を零した。
歩き出すと、ジェイドさんが指先に触れた。
「…!」
「すみません、しつこくて…」
「……、」
何かを言いかけた私の背中を、軽く押す。
その瞬間、鏡に吸い込まれてしまった。
鏡の中から見えてジェイドさんは、ひどく優しく、微笑んでいた。