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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第9章 自分で


その日から、光希は自主稽古を開始した。
自分で鍛錬の内容を決めて、技を磨いていく。
義勇が上へ連絡をしたのか、光希の任務も再開され、鴉の指令であちこち飛び回りながら鍛錬をしていた。
追い込み型の光希はがむしゃらに鍛錬をしてしまうので義勇は心配したが、任務が始まったことであまり無茶をしなくなり、秘かにほっとした。


修行を積ませる目的なのかなんなのか、光希は他の柱との合同任務にも出ていた。
いつも柱との任務が終わると義勇に「昨夜は恋柱さんと、」とか「岩柱さんが、」と興奮気味に話す。

そんな中、ある日浮かない顔で「昨日は風柱さんと合同任務だったんです」と話し始めた。

「不死川とか」
「はい……」

しょぼんとする光希。ご飯が進まない。

「喧嘩、しちゃいました」

煮豆をひとつ口に入れ、ポツリと呟く光希。

「だって、会うなり『俺は冨岡が大嫌いだ』って言うから」
「………」
「めっちゃ腹立って。このやろって思って。でも我慢してたんですけど、なんかずっと、あーだこーだ義勇さんの悪口言ってくるから」

しょんぼりしていた光希は言われたことを思い出してきたのだろう、苛々としてきた。


「鬼は倒したのか」

コクリと頷く光希。

「逆転の呼吸使ってやりましたよ。仕方ないから。ムカついたけど。合わせろって言われたからやりましたよ。ほんっとムカついたけど」
「そうか」
「で、討伐して『俺も貴方が大っ嫌いです』って言ったんです」
「………」
「いい度胸だって向かってきたから、やり返しました。…すみません」
「それでか」


義勇は光希の顔を見る。あちこち腫れている。鬼にやられたと思っていたが不死川だったようだ。

「一撃でも入れたか」
「蹴りを一発。かなり浅いですが」
「上出来だ」


義勇は喧嘩を咎めなかった。それどころか少し嬉しそうに味噌汁をすする。


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