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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第5章 蝶屋敷 1


四人の入院生活が始まった。

光希はあちこちヒビがはいっているものの、骨折は無くてほっとした。呼吸での回復が功を奏し、だいぶ痛みは治まってきた。
ただ、右肩の筋を傷めており、腕が上がらない。


善逸は自分のベッドに胡座をかいて笑う光希に戸惑っていた。光希は自分たちと同じ服を着て、炭治郎と楽しそうに話してる。


―――…こいつ、男の寝台に乗るか?普通。しかも、近いんだよ馬鹿野郎


晒も巻かれていないので、ダボついた服ではあるが、女であることも良くわかる。降ろされた髪がさらさらと揺れる。口調以外は女にしか見えない。

今まであまり意識したことなかっただけに、いろいろ気になってしまう。何だか光希を直視出来ずにいた。


そんな中、炭治郎が光希に声をかける。

「光希、髪の毛結んであげるよ」
「え?出来るのか?」
「妹たちの髪結んでたからな。こっちおいで」

炭治郎がそう言うと、光希はぴょこんと炭治郎のベッドに移動する。

手首に巻いてた結紐を炭治郎に渡し、背を向けてちょこんと座る。
炭治郎がそっと近付いて髪にさわる。


―――――おいおいおい。近い近い近い


善逸は黙っているが冷や汗をかいている。


「おお、さらさらだ」
「そうか?あんまり手入れしてないけど」

炭治郎はしばし光希の髪を撫でていたが、髪を集めはじめる。

炭治郎の指が光希の髪を梳く。
こめかみを通り、頭上、うなじと器用にまとめていく。

「なんかくすぐったい」
「はは、我慢してくれ」

まとめ終わると結紐できゅっと縛る。

「はい」
「ありがと」
「ん?ちょっと位置が高かったか?」
「え?いいよ。別に。てか、本当に上手いな炭治郎。俺より上手いかも。不器用だと思ってた」
「髪だけは、な。妹の為に練習したから。 櫛があればもっと綺麗に結える。肩上がんないんだろ。いつでも結ってあげるよ」
「ありがと。炭治郎はいい兄ちゃんだなぁ」


善逸は二人のいちゃつきを見せられて、物凄く不機嫌になった。
「善逸、どう?」と光希が笑いながら髪を見せても「別に、いいんじゃね」と憮然としている。



「ん?」と光希は首を傾げ、炭治郎はぷぷっと笑った。


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