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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第2章 もしかしてお前は…


「交代だ」

声がかかると、すっと目を開く光希。

「はい。お疲れ様です」とハキハキ答える。
寝起きの良さは昔からだ。

「行こう、善逸」
身体に掛けていた薄紫色の羽織をふわりと着る。
首元で括られた長い髪が揺れる。

答えない善逸に、
「どうした?いつも以上に間抜けな顔して」と覗き込む。

「い、いや、別に…てか、誰が間抜けな顔だこら」
「じゃあ変な頭」
「うるせーな」

あはは、と笑う光希。
鬼と戦うとんでもない任務中だってのに、気楽な奴だな、と善逸は思う。

二人は一緒に見張り場へ行く。
「代わります」と声をかけると、眠そうな男が「おう」と答えた。

炊かれた火の側に並んで腰掛ける。
ゆらゆらと揺れる火が照らすその整った顔は、どこからどう見ても女だ。

「……なぁ、光希…」

善逸が言いかけた途端「………しっ!」と光希が片膝を立てて反応した。口元に手を当て、善逸を制する。

「…………いるぞ」
「……ひいっ!」
「静かにしろっ。ちっ、さっきの見張り、何見てたんだ、くそぼけが……」

とんでもない口の悪さで先程の男を罵るが、辺りへの警戒を強める。

「……予想より…多いな。…集まってきてんのか?善逸、何体だ?」
「ひいぃぃ……いっぱいだ………」
「おいっ、びびってないで数えろ、出来るだけ正確なやつだ」
「あわわわわ…十二、十三かな、ひいぃ……」
「よし、それ、報告してこい。静かにな」
「無理無理無理光希から離れたら死ぬ」
「死なねぇから、早く行け馬鹿」

鬼に注意を向けながら善逸を蹴り飛ばす光希。

……作戦変更が、必要か?
光希は善逸が出した鬼の数を念頭に、気配をさぐる。

「如月、どこだ」
「右前方、右横、正面の鬼が近く、左は少し遠いようです。ただ、数が多いです」

善逸の報を受け、鬼殺隊士が集まってきた。

「毒矢が足りるか」
「微妙です」
「毒矢で打ち損ねた奴は討伐しろ」
「はい」

「毒矢の準備だ。我妻、位置を掴んで指示を出せ」
「ひぃぃぃ、は、はい」
「配置につけ、我妻の指示で発射だ!」

「善逸、大丈夫だ。出来るよ。頑張れ」
震える善逸に声をかけ、ぽんと肩を叩く光希。
そのまま持ち場へ走り去って行った。


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