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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第17章 友が起きるまで 3


光希は指定された場所で義勇を待つ。
緑が生い茂る鬱蒼とした山だ。


日が暮れた。空の様子や風の匂いを感じ、集中力を高めていく。呼吸を繰り返しているとよく知った気配が現れて、光希はぺこりと頭を下げる。



「早いな」
「お久しぶりです、義勇さん」
「状態は」
「怪我八割、速さ七割、体力…五割、です」

申し訳なさそうに回復状況を伝える光希。


「わかった。行くぞ」

義勇は顔色を変えずに目の前の山へと足を踏み入れる。

「はい」

光希も続く。



「『逆転』は」
「二ヶ月使ってません」
「では、参のみだ。多くても二回までとする」
「わかりました」

少ない情報量で伝え合う二人。
草木を掻き分けて奥へ進んでいく。


久々の夜の山に、緊張が走る。石や岩に足を取られないように目をこらす。




「うっ……」

突然の異臭に光希は顔を歪める。鼻と口を腕で抑える。
義勇も一度足をとめる。無意識に腕を広げて光希を庇うように立ち、気配をさぐる。

周囲に鬼の気配はない。人の気配も。
確認した後、すぐに匂いの方へ走る。


人が、食い散らかされていた。


「ひどい……」
「時間がたってる。ここらには鬼は居ない。行くぞ」

埋葬もせずに手だけを合わせて進む。


「何故ここに、あんな人数が……」
「警戒心の強い鬼だろう。さらったその場で食わず、山で隠れて食う」


人を相当食った鬼だ。そして警戒心も強いとなると厄介だ。


「慎重にやらないと、逃げられる……」
「そういうことだ」


二人は一晩山を徘徊したが、人の死骸はいくつも見つけたものの鬼本体を見つけられなかった。鴉たちも鬼の足取りを追えない。
夜が明けてきた。日中、鬼は身を隠してしまうので見付けることはほとんど不可能である。


「くそっ、いないな……狩りにいってるのかな……」
「かもな。この手の鬼を一日であげられるとは思ってない」
「そうですね」


その後少し手分けして捜索した後、合流して休憩することとした。

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