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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第16章 友が起きるまで 2


数日後の夕方。

光希は蝶屋敷近くの山を全力で駆け下りていた。
刀は持っていないものの、隊服といつもの薄紫色の羽織を着ている。

山での走り込みをしていた時、鴉からの一報が入った。知らせを受けてすぐさま下山を始め屋敷へ向かう。
目には涙が浮かんでいる。


息を切らして屋敷に飛び込む。
廊下を走る。

「光希さん!」
「はぁはぁ、きよ!伊之助がっ……」
「はいっ!」

病室に駆け込む。



そこには身体を起こしている伊之助と、伊之助にすがりついて泣きじゃくる善逸がいた。
蝶屋敷の面々もみな歓喜の涙を流している。


「はぁ、はぁ、はぁ、……伊之助」

呼吸を整えながら、ゆっくり近付く。
善逸の反対側から伊之助の側に行く。

「……よう」
「伊之助……」
「なんだよ」
「いの、すけ……」
「……おう」

何度その名を呼びかけてきただろう。
ようやく…、ようやく返事が返ってきた。少し掠れて、どこか照れくささを含んだ声で。


光希はベッドの隣にペタンと座る。


「お、おい、どした?」

伊之助が慌てて上から覗き込む。
光希は俯いて肩を震わせている。

「……良かった…、良かっ…たっ…」

顔は見えないが、泣いているのがわかった。


「……心配かけたな」

「本当だよ!うわあああん!!伊之助ぇ!」
「お前に言ってねぇよ!いい加減離れろ!暑苦しいんだよっ!!!」

善逸をべしっと叩く伊之助。


「痛っ!酷っ!俺と光希が毎日来てやったのにっ!!どんだけ心配したと思ってんだ!!」
「お前の場合はキモいんだよっ!だから、離れろ!!」

ぎゃあぎゃあ言う二人に、誰にも涙を見せないように泣いてた光希も、ふふっと笑う。

羽織の袖で涙を拭いて立ち上がった。


「伊之助、おかえり」
「おう。お前も生きててよかったな」
「俺たち運がいいな」
「そうだな」
「しばらくしっかり休めよ」

光希はふわりと伊之助を抱きしめた。


「ずっと、ずっと待ってたんだよ」

耳元で響く声に、伊之助は目を見開く。
心がほわほわした。



「はい!そこまでー!」

善逸が間に手を入れて、光希を引き離す。
明らかにむっとしてる善逸に「ごめん、つい」と言うと「つい、じゃねぇ!」と怒られた。

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