第1章 大人と子供【完結】
「もしもし」
「え、一郎くん?」
正月は実家に帰れなくてもうすぐ二月。ちなみに一郎くんは私が東京に戻る前にもう居なくなっていた。
「何でこの番号知ってるの?」
「その、親父さんから聞いて」
知らない番号だけど友達だと思ったら、まさか一郎くんから電話がかかってくるなんてすごいびっくり。
「どうしたの?」
聞けば氷祭りに言ったとか、そこで元高校の友達にあって手作りのソーセージを食べたとか。他愛もない話だったけど、携帯の向こう側から聞こえる声は何だか嬉しそうに聞こえた。
「で、八軒って奴が相変わらずバカみたいに人の心配する奴で……」
「うん、うん」
野球部にいた時は甲子園を目指していた事。秋季大会で負けてしまって学校を止めてしまった事。いつになく饒舌に話す一郎くんに何度も相槌を打つ。
「……俺、昔はもっと欲張りだったんですよ」
「うん、そうなんだ」
すごく近いわけじゃないけど全く知らない仲じゃない、私ぐらいの距離の方が話しやすいってあるのかな。
「だから、もっと頑張る事にしたんスよ」
「うん……え?」
前に充分頑張ってるって言ってたのに、どうしたんだろう。