第3章 彼女の思い…
勿論(もちろん)その言葉は八雲にしか聞こえていない。
八雲『彼女は、ある男に、言う事を聞かなければ、貴方を殺すと脅されていたそうです…。この鏡には、今、亡くなった彼女の魂が宿っています…。』
八雲がそう説明するが、姉が見えていない充は、訳が分からない。と言う顔をしながら八雲を見るのみだった。そしてそんな顔をしている充に、八雲が説明する。
八雲『僕のこの赤い左眼には、死んだ者の魂が見えます。』
充『赤い左眼…ですか? 貴方の左眼は緑のようですが?』
と充が言う。そんな充に晴香が慌(あわ)てて説明する。
晴香『いえ、右眼は確かに緑色何(なん)ですが、左眼は赤なんです。普段から、その赤い方の瞳は、緑色のカラーコンタクトで、隠しているんです。』
その晴香の説明を聞いて、充は一応、納得をした。そして晴香が充に聞く。
晴香『充さんは、その…お姉さんを脅していたと思われる人物に心当たりとかは、ないんですか?』
充『姉は、私には、自分の事は、あまり話してくれなかったんだ…。私が、聞こうとすると何故か、悲しげな顔をして。自分は元気だから、大丈夫。だとしか言わなかった…。』
充は晴香に悲しげな顔をして、切なそうに晴香から受け取ったネックレスを握り締めた。そして、ポツリポツリと言う。
充『そんな…。脅されてたなんて…。ずっと、1人で苦しんで…。苦しんでたなら…話して欲しかった…。どうして何も…一言も言ってくれなかったんだ…。』
その様子を見ていた空が、充を抱きしめた。勿論(もちろん)魂だけの存在なので、実際は触れらていないが。
空『ごめんなさい…。充。言えば貴方は必ず私を助けようと無茶をするから、どうしても、言えなかった…。』
八雲『とお姉さんが言っています…。そして、貴方を犯罪に巻き込みたくは無かったのだと…。』
充『犯罪…?それはどうゆう意味ですか…? 姉は何を…。』
その充の問いに、八雲が答える。