第2章 告白
「トウキョウ行きたいです」
「わかった、連絡しといたる」
俺はオオサカの人間じゃないからカンサイ弁じゃなかったのが少しネックだった。
やはりオオサカの人はカンサイ弁の漫才がしっくりくるようで、俺らは売れないと影で言われていた。
でも龍太郎は養成所で俺のネタを見て組みたいと言ってくれたから、龍太郎についていくって決めたんだ。
オオサカで仕事も増えて、トウキョウの番組にも出してもらえて、レギュラーも決まってしまうなんてトントン拍子に進んでいくのが少し怖い気もするがチャンスがある内に手にしておかないと。
事務所を出て龍太郎と別れると少しフラフラした。
マネージャーから報告を受けた時、瞬時に簓さんの顔が浮かんだ。
トウキョウに行くなら簓さんと遠距離になるってこと。
でも簓さんなら笑顔で送ってくれるはずだ。
簓さんに伝えなくちゃいけない。
「もしもし簓さん」
『おお!丁度電話しようと思っててん!』
「どうしたの?」
『ちょい今から付き合ってえな!』
「夜ライブあるけどそれでもいいなら、何かあったの?」
『行きながら説明するわ、ウメダ駅前集合な!』
簓さんに言われた通り待ち合わせ場所到着すると、何気に目立つ緑頭がそこに居た。
「待った?」
「うんにゃ、ほな行こか」
電車で行くようだ。
「どこに行くの?」
「盧笙ん家」
「え?何で」
「ディビジョンラップバトルのメンバーに誘いにな」
「まだ決まってなかったんだ」
「あと、詐欺におうとるみたいやアイツ」
「詐欺?」
「さっきその詐欺グループの社長いう胡散臭いおっさんに会うてきたんやけどあれはネズミ講や」
「何でまた簓さんがその社長と?」
「今日ライブ一緒やったやつに、前々から詐欺話持ち掛けられてずっと断っててん。でもネタにしたら面白いんちゃうかと思って話だけ聞きに行ってきたんや」
「そしたら?」
「その詐欺に登録しとる人らの名簿を見せてきおってな、その名簿の中に盧笙の名前があったちゅうわけや」
「名簿見せるとか個人情報どうなってるんだ」
「せやろ??絶対怪しいわ、その話もせんといかんなって」
「それで俺は何をすれば?」
「ん?何もせんでええで?」
「じゃあ何で呼んだの」
「最近会うてなかったから!」
笑顔でサラッと言ってくるこの人可愛すぎかよ。
遠距離……したくないな。