第5章 和解 ※過激な描写あり
時計を見ると深夜三時。
簓さんは朝から仕事が入っていると言っていた。
「寝なくて大丈夫?」
「少し寝とかんとマズイな」
ティッシュを捨てて隣にごろりと横になった簓さんは俺に抱きついて目を閉じた。
そのまま寝ると風邪引くだろうと掛け布団を引っ張る。
「おやすみ」
「おやすみ簓さん」
そっと簓さんの手を握って俺も一緒に眠りについた。
ー、起きい!
あれ、簓さんの声が聞こえる。
目を空けると窓から朝日が差し込んでいた。
隣を見ると簓さんがいない、あれ?簓さんは?もう仕事行っちゃった?
「ー、起きたか?朝メシできたで!」
隣の部屋からひょっこりと笑顔で顔を出した簓さん。
「仕事行っちゃったのかと思った」
「黙って行かへんて、食べるでー!」
リビングへ向かうと朝食が出来上がっている。
ご飯と味噌汁にハムと目玉焼き、豪華だうまそう。
「クフフフ、下くらい履きいや」
急に笑いだした簓さんの目線の先、“下”を見下ろすと俺は全裸だった。
「あっ」
「履かせたろか?」
「自分で履ける!」
簓さんの笑い声を後ろに部屋へ引き返す。
脱ぎ捨てられた下着とTシャツにスウェットを着て、なんとなく自分のバッグを見ると忘れていたことを思い出した。
あぶない!これを忘れてしまっては!
バッグから取り出して簓さんに気づかれないように後ろに隠してリビングへ向かった。