• テキストサイズ

【ヒプマイ】先輩芸人の簓さん オオサカ編

第1章 芸人の道へ


俺はお笑いが大好きでよくライブを観に行ってた。
それでも観るだけでは物足りなくなって自分でネタ作ってみたり、アマチュアでも出れる賞レースにエントリーしたり。

観るとやるとじゃ全然違うことを実感した。
観る側は面白いか面白くないかで判断する。
3分のネタに一週間、一ヶ月もかけて作ったものを面白くなかったの一言で片付けられることなんてしょっちゅうで。
全然ウケなくても最後の客席の拍手で気持ち報われることもある。
それから俺はライブに行くたびに笑いが少なかった芸人さんにも大きな拍手をするようになった。

漫才師の白膠木簓さんという芸人さんがいる。
この人は口が達者で面白い。
白膠木さんがまだ新人で出てきた頃もうすでに人気だった。
気になっていてずっと追いかけた。
相方の躑躅森盧笙さんは上がり症の様で舞台でよくネタに詰まることがあるけど、それはそれで愛嬌があるし、それに対する白膠木さんのツッコミがまた面白いんだ。

「白膠木さん」
「お!君、いつも取置きおおきに!」
「今日も面白かったです!」
「サンキュー!いつも出待ちしてくれて時間大丈夫なん?」
「全然、好きで待ってるんで。今日も差し入れ持って来ました、良かったら食べてください」
「助かるわ!芸人は金無いから食べ物嬉しいねん!」
「知ってますよ、躑躅森さんは?」
「まだ楽屋におるんちゃう?もうすぐ出てくるやろ、呼んだろか?」
「いえ大丈夫です、待ってみます」
「そうか、じゃあワイこれで」
「あ、白膠木さん!白膠木さんに言ったところでって感じなんですけど、俺芸人になることにしました」
「え!マジで?賞レースちょいちょい出てたもんな」
「はい、真面目にお笑い学びたいと思って」
「ええやん!芸人は根性さえあれば誰でもなれる職業や、頑張りいや。どこの養成所通うん?」
「NOCです」
「そっか後輩になるな!一緒にライブ出れる日楽しみにしとるで!」
「はい!!」

今日は白膠木さんにこれを伝えたかった。
白膠木さんの後輩になる、そう考えただけでワクワクする。
俺との会話を終えた白膠木さんはすぐ女性ファンに囲まれた。
白膠木さんは老若男女問わず平等に接してくれる。
そういうところもファンが付く理由なんだ。
俺も白膠木さんみたいな芸人になって会場を揺らしてみたい、そう思った。
/ 54ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp