第2章 かかしの闇
ここから私とかかしの共同生活が始まった。
かかしは、言っていたように本当に多忙だった。
家にほとんどいない…
数日いないこともある。
かかしが所属している暗部という部隊。
あんぶ…あんぶってどういう意味だ?
聞くタイミングを逃してしまった。
でも隊長をしていると言っていたから、まぁ忙しいのは仕方ないんだな。
居場所がとりあえずあるとはいえ、一人は寂しかった。
時々、かかしの出す忍犬が交代できてくれる時は唯一、心がなごむ。でもその忍犬たちですら毎日はだめなのだ。
かかしと一緒に任務があるからって。
完全、主婦状態だが、何もしないよりはましか…と家事は完璧にし、置いてある本を読んで過ごした。
今日も帰ってこないのかな…もう夜中だ。
そう思っていたら、玄関が開く音がしたと同時に、ガシャンと音がした。
かかしだ!
やっと帰ってきた。
今回は一週間会わなかった。
なんだか久しぶりで緊張するな…
なんて思いながら玄関へむかった。
と、そこに飛び込んできた光景は、全身血塗られたかかしの姿と、冷たく私を見下ろす左目が血色のオッドアイだった。
「…かかし…」
名前を呼び終える前にかかしは無言で私を振り切ってお風呂場へ行った。
ケガ…したのかな…
心臓がバクバクと鼓動する。
しかも、かかしのあの目…
オッドアイにも驚いたが、ひどく冷たかった。
目で殺されるとはあのことだ。
お風呂から上がってきたかかしは、右目でじっと私を見据えた。左目は…閉じられている。
マスクもつけないで見下ろされるその姿に、かかしの素顔を初めて見た驚きよりも、彼の威圧感に私は小さくなってしまっていた。