第1章 彼と私
火影室から2人でゆっくり歩いて帰る。
「かかし。ありがとね。
なんかみんな優しくて、ほんとよかった」
「いいよ。まぁ、きっとここに来たことにも何か意味があるんだよ。今はわからなくても、いつかわかるだろうね」
「そっか、そうだよね。
じゃあ…かかしと私が会ったことにも意味があるかもね」
そういってかかしをみると、彼は私をじっと見た後
「そうなのかな‥そうかもしれないね…」
と遠くを見つめていった。
‥…なんだか突然かかしが儚く見えた。
「かかし、えっと、一応聞くけど彼女とかいない?
火影様からの任務っていっても、気を悪くしたら申し訳ないし…」
「いない。誰もいないよ。俺には誰も…」
‘’俺には誰もいない‘’
私はただ彼女の存在だけを聞いただけだったのに、なぜかそれ以上の答えを言われた気がした…
と同時に彼の深い孤独感を感じた気がした。
「…そっか…。へへ、でもこれから私がいるよ。
図々しいのはわかってるけど、しっかりお世話になるからね」
なんとも言えない雰囲気を吹き飛ばすために、私は笑って彼に伝えた。
するとかかしは、眉を下げて笑いながら頷いた。