第5章 嫉妬
「アンナ、帰ろうか…」
かかしに手を引かれ家にむかった。
ずっと無言のまま。
でもやっぱり納得ができない。
「あの…かかし…すいれんさんとかかしって…何かあった?」
思い切ってきくとかかしは、大きくため息をついた。
そして、彼女との話を気まずそうにしながらも話してくれた。
あの人は、今まで幼い頃からかかしを思って、再会できることを夢見て頑張って生きてきたんだ…
自分だって中途半端な気持ちで好きになったわけじゃない。でも重みが違うと感じた。
だからって、譲りたくない。
でもなんでだろう…大きな罪悪感が湧いてきた。
だってこの戦乱の厳しい世で、彼女の生きがいを奪ったことには変わりない。
私が別の世界から来なければ…
ましてや私は忍びではないため、彼女のいうように本当の意味でかかしを理解できていないのかもしれない…
堂々巡りな考えと不安が押し寄せた。
あまりに不安が顔に出ていたのだろう。
かかしがぎゅっと抱き寄せてくれた。
「すいれんは、俺と共に任務にでる。
俺は隊長としてあいつと協力し任務遂行と、他のメンバーたちを守る事に責任がある。
でも…アンナがいるから、俺は絶対生きて帰ろうって強く思えるんだよ。それにちゃんとアンナのことも守りたい。
ここが俺の帰る場所だから、それはわかってくれる?」
見上げると、かかしは優しく笑ってくれた。
あぁ彼の言葉はまるで魔法みたいに暖かくて不安を消してくれる。
好きになればなるほど苦しいよ。
もっともっと独占したい。
「じゃあ…かかしが私のことほんとに好きだっていうこと‥いま証明して?」
私の思いがけない言葉に少し驚いたようだったが
「アンナが、煽ったんだからね…」
かかしが耳元でささやいた。
彼の一言だけで自分の体は熱くなる。
_________
それからはもう夢中で…よく覚えていない…