第5章 嫉妬
今日かかしは休みだけど、報告だけしにいくといって出かけた。
今日は何つくろうかな~
なんて献立を考えながら買い出しに今きている。
あれこれと献立を考えながら目的のものを手に入れた。
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家に向かっている途中、なんとなく視線を感じて後ろを振り返るが誰もいない。
変だな…
と思い前を向きなおすと、サラサラと黒髪をなびかせた女の人が立っていた。
綺麗な人だなと思いながらも知り合いではないため、軽く会釈をして通り過ぎようとしたその時。
「かかしを…返してくれない?」
その言葉に、聞き間違えではないかと思いつつも足が止まった。
戸惑いながらもその人を見ると私をじっと見つめている。
聞き間違えじゃない…
「あの…返すって…」
「あんたがいなければ、私とかかしは一緒にいるはずだった。私達はずっと同じ気持ちだったのに」
同じ気持ちだったって…?
動揺しすぎて言葉がでてこなかった。
「あんた、人殺したことあるの?ないよね?
平和にただ暮らしてる忍びでもないあんたに、かかしの本当の苦悩が理解できるわけがない」
言葉の刃が何本も胸につきささった気がした。
「返してくれるよね?私に…」
私と彼女の間に、ザザッとひときわ強い風が吹いた。
彼女の目はひどく冷たく、まるでかかしが闇を抱えていた、あの血塗られて帰ってきた時と同じ目だった。
殺される…
恐怖心で言葉が出ず立ちつくしていると、頭にポンと暖かいぬくもりを感じた。
「っ!」
途端に息を飲んで右側をみると、そこにいたのはかかしだった。
姿をみて安心できたのか、やっと言葉がでてきた。
「か‥かし‥私…」
かかしの優しいまなざしに私の恐怖心がぬぐわれた。
私が安堵したのを見た後、かかしはぐっと力のあるまなざしに切り替えて、黒髪の女の人に言った。
「殺気むける相手、間違ってるでしょーよ、すいれん」
そのすいれんと言われる女の人は、私をにらみつけたあと消えてしまった。
あの人はかかしのことがすごく好きなんだ、それもかなり前から…