第1章 彼と私
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どすんっと背中からどこかに落ちた。
なんちゅーか、痛くて声がでない。
背中にじわーんと広がる痛みに悶えながら、なんか自分の下にも踏んでいるものがあると気づく。
「いった‥‥」
なんとか上体をおこして下を見ると、私の体の下敷きになっていた銀髪の男が私を見上げていた。
「へ…?」
「…あの、ちょっとどういうことかな…」
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思い起こすこと数分前…
病院からの仕事帰りだった。
今日も頑張った自分、よくやったぞ!と自分を褒める。
星がきれいだな~なんて、珍しく上をみて歩いていたら、案の定なにかにつまづいた。
「わっ!」
とその瞬間、スローモーションになった。
あー久しぶりにこける…
なんて頭の片隅に思いながら、これから痛むであろう自分の体に同情した。
だが、道にあたったのにそのままグニャンとのめりこみ、気が付いたら、どこかに落ちたのだ。
「どーいうことって…どーいうことですか‥ね‥?」