第3章 嘘の彼女
「あーそういえば、こないだのお見合い、穏便に断れたから助かったよ。迷惑かけたね」
ドキッとした。
「いえ‥あのそのことで里内でも噂が広まってしまって…逆に申し訳ありません。こちらこそ、迷惑…かけてます…」
かかし先生はきょとんとしていた。
「火影様は、すごい忍びで憧れている人も男女問わずに多いですから、私が隣にいるっていうのがやっぱり釣り合わないというか…自分でも笑えますね。ふふ」
「…もしかして、誰かに何か言われた?」
「いや‥その…自分はほんと何もないなって思ってしまって…」
「そんなこと言わないの。自分では自分のこと近すぎてわからないんだよ。俺は俺で、自分をたいしてすごいとは思わない。周りがいてこそ、こうしてやっていけてると思ってるしさ。それに、俺はあんまり元気のないりかは、見ててなんかつらくなるから。やっぱいつもみたいに元気で笑ってくれるほうが俺はうれしいよ」
にっこり笑う先生に、胸がグッとつかまれる感覚を覚えた。どうしよう…ほんとの彼女になりたい。嘘のままなんて嫌だ…自分の瞳に映るかかし先生がゆらゆらとし始めた。
「火影様、実は私‥!」
と言いかけたとこでスッと暗部の一人が現れた。
どうやら緊急連絡が入ったようで、報告にきたようだ。
「りか、ちょっと気になる事があるから家まで送れない。ごめんね」
「いえ!全然大丈夫です!もう近くなんで!火影様、また明日。おやすみなさい」
「また明日ね。気を付けるんだよ。おやすみ」
そういって、二人は瞬身で消えた。
はぁああああああとため息ついた。と、同時に、テンがでてきた。
「…言えなかったなー肝心なこと…」
「見てたんだ…ほんとうまくいかないね恋愛って。」
「だから燃えるんだろ?」
「そーなんだけど、テンだって私とかかし先生が釣り合わないって思うでしょ?ほんと、テンが最初にここまで設定してくれてなかったら、私かかし先生の隣にすら近づけなかったかも…」
「らしくねーな。ま、お前もそこまで悪くねーよ。んな落ち込むな」
「慰めてくれてんの?いいとこあんじゃん」
「ばかいえ。お前時間が限られてんだぞ?こっから展開みせてくれねーと俺がつまんねーだろうが」
「はいはい。明日からまた頑張るよ」
そういってテンは家に着くまで一緒にいてくれた。
家につくと、いつも通りテンは夜空に消えていった。