第9章 狩りに最適な日
———無人の地下鉄構内を探索する狡噛。
無線の連絡機器からノイズが聞こえ、常守からの反応が無くなった狡噛は彼女に「応答しろ」と話しかけた。しばらくして『感度良好 そのまま進んで下さい』と指示を出した常守にため息をついて歩き続けると、目の前には大きな古びた電車が———。無線越しの常守に尋ねると『車両を捜索して下さい』との指示があったので従って車体に手をかけたらプワーンと電車の警笛音が鳴り、レモンイエローのレトロな電車は快速で走り始めた。
「おい監視官! 何がどうなってる!?」
自身のモッズコートをなびかせて、風を顔に通過させながら狡噛は叫ぶ。
すると、再び耳から常守の声が聞こえた。
『破棄された地下鉄路線です 車両を捜索して下さい』
「………ッ」
狡噛は、先ほどと同じ言葉を聞いて“録音のリフレイン”だと気づく。そして、電波が何者かに乗っ取られてることがわかった。
狡噛は電車が路線を突っ走る中、壁を伝って車両の中に入った。
そこには、運転席に寝間着姿で座らされ両手を後ろで縛られ顔に紙袋を被った女性がいた。紙袋を取ると、目を狡噛に移しパニックになる彼女。公安局の刑事だと伝えると怪しいものではないとわかってくれたのか、落ち着いてくれた。
「あんたは?」
狡噛は、彼女の拘束された両手をほどきながら尋ねた。
「船原ゆきです……」
か細い声で名を告げた。
「常守の友人?」
「……朱を知ってるんですか!?」
「同僚だ」
と、狡噛は話した。