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手のひらの虹 【恋人は公安刑事】津軽高臣編

第4章 初めてのデートの約束 〈津軽目線〉


明後日やっとウサに会えると思っていた木曜日の夜、銀さんに呼ばれた。

「例の件、今週中に片付けろ」

「分かりました」

「上手くやれよ」

俺の横を通り過ぎて行く銀さんの低い声。


例の件とは、三ヶ月以上前から、調査している、IT企業と反社会的勢力との繋がりを洗い出す事だった。
モモは、IT企業の派遣社員として、IT企業に潜入していた。
俺の方は、IT企業の女秘書を情報源として、度々接触を繰り返していた。

俺は、ハニートラップでしくじった事は、今まで、ほぼ無い。
社長秘書は、俺にメロメロで結婚すら仄めかされている。
のらりくらりと交わすのは、俺の得意分野だが、社長秘書に身体を触られる度に頭に浮かぶのは、瑠璃子の顔だった。

兵吾くんもハニトラは上手いよな..。兵吾くんなら、彼女の存在など気にせず、情報源を平気で抱くのだろうか?
そんなガキみたいな事を考えてる自分に苛立った。

(馬鹿かよ、今までこんな事考えた事もないだろ!俺は!)

モモも、ああ見えて、実は彼女が居なけりゃ女の子にはモテる。
ハニトラも下手ではない。

ただ、自分で言うのもなんだが、俺の方が、俺の顔の良さで、女は簡単に、俺と親密に成りたがるのを利用して、話が早く進む。
それだけの事だ。

俺の顔の良さで、今までハニトラに引っかからなかったのは、今愛しくてしょうがない相手のウサくらいだった。

ウサは、俺を顔で判断しない。そこが好きで、そこがまた、やきもきする原因でもある。


ウサが俺を好きだと知って、出来るだけ、情報源と深く関わらずに、情報を引き出そうと思うようになった俺の変化に、銀さんは気付いているのだろうか?

捜査だと言うのに、ウサにハニトラの事が知られたくない。
ウサだって、公安刑事の端くれ、ハニトラぐらいで、どうこう言いはしないって分かってる。

まあ、この事件は、色々な上層部との事情が合って、俺とモモ二人で、追ってるやまだ。
だから、ウサは、俺の社長秘書とのハニトラについては知らない筈だった。

土曜日は、絶対ウサを連れて、あの公園に行く。

だから、このやま、明日中に片をつけるほか無い。

一番得たい情報は、IT企業から反社会勢力への資金の流れだった。
大きい資金の流れがある筈なのに、洗い出せず行き詰まっていた。

ダミー会社を何社か入れてれて、資金が流れてる筈だ。

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