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手のひらの虹 【恋人は公安刑事】津軽高臣編

第12章 三度目のあの公園 《津軽目線》


黒澤の大声が、イヤモニから、聞こえた時、俺は、瑠璃子と死ぬ覚悟をした。
瑠璃子が、部屋に入った時、俺は、まだ、瑠璃子のいる部屋に辿り着いてなかった。
信者達が、数人廊下を通っていたからだ。

俺は、一瞬信者達を射殺して、瑠璃子のいる部屋に、飛び込もうかとすら思った。
「瑠璃子さん、パソコンの電源立ち上げましたよ!津軽さん!!急いで下さい!!」

黒澤のあんなに切羽詰まった声は、今までかつて聞いた事がなかった。

信者達がやっと通り過ぎて、俺は、瑠璃子の部屋へ飛び込んだ。
その時、俺が考えて居たのは、瑠璃子との殉職だった。

瑠璃子が、パソコンのキーボードをゆっくり間違えない様に、入力していた事で、俺達は、間一髪助かったのだ。

「瑠璃子入力するな!!!」

多分、俺は、そんな言葉を口走った筈だ。

俺の大声で振り返った瑠璃子は、大きく目を見開いて俺を見ていた。
俺の剣幕で瑠璃子は、身の危険を察知した様だった。
俺が、瑠璃子の傍に駆け付け、パソコンの画面を見ると、5桁まで入力されていた。

瑠璃子の唇が、震えていた。
俺は、咄嗟に瑠璃子をかき抱いて、彼女の震えている唇に、自分の唇を押し当てていた。

そして、俺は、もう一度、瑠璃子を抱きしめた後、二人で、信者達の応戦を交わしながら、修行施設を脱出した。

俺と瑠璃子が、修行施設の近くの林道に、止めてあった車に乗り込んだ時 腕時計を見ると、19:37分を確認した。

「香月救出、及び、爆破阻止任務完了」

俺は、それだけ言うと、イヤモニを外した。

「津軽さん、状況説明お願いします!」

瑠璃子が、公安刑事の顔で、俺に質問してきた。

俺は、今までの流れと、瑠璃子が 『681854』を入力すると
PC内の小型爆弾が、爆発し、その爆発が、テロの決行合図だったと説明した。

「新垣と木内は、逮捕出来たんですか?」

「新垣と木内は、任意同行させた」

「よく、二人が、応じましたね?」

「その辺は、兵吾くんと、石神さんに感謝だな、逃げきれない様に先手打ってくれてたよ」

瑠璃子が、尚も、公安刑事の顔で、俺に質問して来たので、
俺は、少し面白くない気持ちになって来た。
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