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夢の世界へ

第6章 朝の幸せ【臣】 甘夢





「ふぁ……いい匂い」

目が覚めると部屋いっぱいにいい匂いが充満していた。
気がつくと、隣で寝ていたはずの臣が居なかった。昨日は恋人の臣が部屋に泊まりに来て、夜も仲良くやって、隣でぎゅっと抱きしめて寝ていたはず。何だか少しベッドも広く、寂しい気分になる。
ゆっくりとお布団から出てキッチンに向かうと、ジュウジュウとフライパンが音をたてていた。

「おはよう、いづみ。昨日も可愛かったぜ」

朝から褒められて何だかいい気分になる。
そんな恋人の臣がキッチンに立っていた。

「臣くん……おはよお」

まだぼんやりとするいづみに対して近寄って頭を撫でる臣。いづみはえへへと笑う。

「今日仕事だろ?お弁当作っといたから持っていってくれよな」

凄く出来た恋人だといづみは関心する。
恋人の手作り弁当をお昼に食べるって思うだけで何だか今日一日がハッピーな日になるんじゃないかと錯覚さえする。

「うん……ありがとう。ぎゅう」

寝ぼけているいづみは思わず臣を抱きしめる。その行動に臣は驚きはするもののポンポンと頭をまた撫でる。

「さ、そうと決まったら出る支度をしよう」

臣に促され、シャワー、身支度を急いで済ませ、再び臣の方に向かう。
時々目が合うと2人で微笑む。
臣が作ってくれた朝食を食べ、お弁当を鞄にしまう。

「……もっと臣くんと一緒に居たいなぁ」

「ははっ、そういってくれるだけで嬉しいよ」

「本当だよ?」

「また来るぜ」

そして玄関で靴を履いていると臣が、あっと思い出したように声を漏らす。

「どうしたの?」

いづみは思わず臣の方へと振り返る。
そうすると臣はいづみの顔を両手で持ち、ちゅっと口付けをする。

「行ってらっしゃいのキスがまだだった」

急なことでいづみの顔はどんどんと赤くなる。もうっと臣の胸を軽く叩く。

「行ってきます、臣くん!」

そう言って2人で玄関の外へと出る。



2020.7.22 執筆完了
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