第4章 きっとそれを人は恋と呼ぶ【綴】 甘夢
多分、それは、きっと……
恋、って人は呼ぶんだと思う。
「監督ー!」
そう言って私を呼ぶのは皆木綴。
我ながらに年下に恋をするなんて思わなかったんだけど。
「どうしたの?綴くん」
新しいプロットが出来たと言って、メモ帳を私に見せてくれる。
その距離は今までよりも近く感じて、彼は多分無意識何だろうけど。
色々考えてくれたことを私にペラペラと喋りかけてくる。
けど、
けど……
正直距離が近すぎて、綴くんのお話所ではない。
そんなことを考えてると、何だか視界がぐるぐるしてきた。
視界がぐらっと傾く。
床にどちゃっと着く前に綴くんが私の身体を支える。
監督ー!っと綴くんの声がするも、段々と遠くなってくる気がする。
それからのことは覚えてはおらず、目が覚めると布団の上にいた。
額の上には冷たいタオルが乗っけられていた。
そしてお腹の所にはずっしりとした重みが乗せられていた。
ん?、これ……何の状況?お腹の上には綴くんの顔が乗っており、綴くんはスヤスヤと寝ていた。何となく身体は重だるい気がする。
身体を動かすと何だかまだふらふらする。
「綴くん……綴くん……」
綴くんの身体を揺さぶる。
お兄ちゃんはまだ眠いんだァ……とか寝言を言っている。
それでも構わず身体を揺さぶる。
「……ん?、ぁ。監督起きましたか?」
目を擦りながら綴くんは顔を私のお腹から離す。
「びっくりしましたよ。急に倒れるんですから。熱があったなら最初から言ってくださいよ!もう!俺が居なかったらどうするつもりだったんですか」
お兄ちゃんみたいに私を叱る。
熱?私熱があったの??
「本当は、汗かくと思って着替えさせたかったんですけど……その、監督は女性だから……なんて言うか///」
「ううん。ありがとう、綴くん」
「元気になったみたいで良かったっす。俺、下でお粥温めてきます」
私の額に載せてあったタオルを取り、洗面器と一緒に持つ。
そして1度はドアの方へと歩くも、スタスタと戻ってきて、私の顔に近づく。
「 ……いづみさん、大人しく待ってるんですよ」
そして、頭を撫でられ、スタスタとドアを出る。
ぶわっと顔が熱くなるのが自分でも分かる。
え。今だって……名前を……名前を……
何だか熱がまた上がった気がした。
2020.7.19 執筆完了