第7章 7
あれから一か月たった。
監視ももう終わり。
めでたく信用を勝ち取ったうちは自由だ。
望み通り、午前中はかかし先生の彼女のお世話、午後からは火影室への出勤と忙しい毎日を送っているが、充実している。
かかし先生の彼女は、香蓮さんといって、とってもきれいな人だ。病気でなかったら誰もが憧れるくノ一なんだろうと確信できる。今は病気のせいもあってか、とても儚くもろく見える。
かかし先生はいつも火影室に出勤する前か、昼休みのどちらかに顔をだす。私はいつも先生に明日はいつ来るか確認して、香蓮さんの身の回りや清潔動作のお手伝いをする。
先生に会うときには、やっぱり香蓮さんにも女として準備万端で会ったほしい。
もちろん香蓮さん本人の希望でもあった。
かかし先生がくると、香蓮さんは必ず私に言う。
「えま、ありがとう」
そう聞くと、私はうなずいて部屋からでる。
気兼ねなく二人の時間を過ごしてほしい。
絵になる二人とはこういうことだ。
いつもなに話してるのかわからないけど、好きな人と過ごせる貴重な時間だから…きっとうれしいよね?
だから決まって私はかかし先生が出てきたらこう尋ねる。
「先生、今日も…少しでも幸せの充電できましたか?」
先生は決まって
「充電完了したよ。いつもありがとう」
って私の頭をポンポンと、優しく包んでくれる。
「またあとでね」
といって六代目火影の羽織をひるがえしながら、私はその後ろ姿を見送るのだ。
その後ろ姿をみているとため息が出る…
今日も先生と香蓮さんのために頑張ったと思う自分と、先生は本当に今幸せを感じているんだろうかという疑問。
うちだってほんとは…
まただ。
考えだしたら深見にはまる。
そんな自らの幸せのためにこの世界にこれたわけでもない。
思い直して、香蓮さんのもとに戻った。