第1章 1
「何この話…やばすぎ。深すぎやろ…」
人生山あり、谷ありっていうし、うちは世渡り上手でもない。苦労も、努力もそれなりにしてきた。この二次元の世界観を自分の現実と比べてしまうのは違うかもしれないけど、うちってやっぱ平和な世界に住んでるんだなと思った。
うちの名前はえま。今更ながらナルト、ナルト疾風伝を見終わった。だいぶ前にやってたのは知ってたし、だってばよって言う子がでてるやつやんな?っていう認識程度。
あーそういえばっていうなりゆきで見始めたナルト。この歳で寝る間も惜しんで、喜怒哀楽を全面に出しながらいっきに見た。なんでもっと早くみてなかったんや…なんて後悔もありつつ、なぜ世界的に有名な漫画であるかも納得できた。おかげで、かかし先生やばい…なーんて、二次元にはまる始末。友達にさっそく助けを求めた(笑)
「めっちゃうける!もう妄想し放題やん(笑)てか、かかし先生て、そもそも誰??」
てうちのことを否定しない友達の言葉に背中をさらに押され、
「かかし先生ってな~、こんな人でな~…」
なんて私のネタ披露にも友達は付き合ってくれた。
やっぱこの物語で、いたちとかかし先生にはもっと幸せになってほしかったな~なんて思ったり。でもさ、疾風伝みて思った。かかし先生、結婚してへんやん。あれ?彼女は?
いや、これでかかし先生が誰かと結ばれてたら、それはそれできついのかな…いやでも、人のためばっかで、先生の幸せは?とか、考えだしたら、まじ果てしなくなった。
うちが幸せにします!なーんて言いたい。言いたい…いや本人いませんやん!て、ことで友達に愚痴る。
「本人が現実にいないから言えない~涙。もうどうしたらいいんや、この気持ち!」
だんだんがちになるうちに、友達も「似た人探すか?」なんていうけど、こんな完璧な人いねーから(笑)
強くて、優しくて、気が利いて、仲間思いで、頭よくて、料理できて、イケメンに色気に…もうきりがない!
いや、むしろ、いたとしてもうちには見向きもしねー
結局は物語ってことで、うちはこの現実で生きるしかないんよね。
あーあ…どうやったらかかし先生を幸せにできるんや…って天井を見つめてたら、眠くなってきた。
今日も答えのでない疑問をもちながら眠りにつく。
ほんと夢であえたらってやつよ。む~……