第6章 やがて糸は火となり繭となる 2
「まぁ、ふざけるのも此処までにして、赤い糸が見えるようになった理由を説明しましょう」
ジェイドがポケットからマジカルペンを出し、それを一振り。
すると大きなビニール袋が現れ、彼が抱えていた大量のキノコがその袋の中に収まった。
ジェイドは片手で袋を持ち、マジカルペンはもとのポケットの中にしまう。
ユウはこういう光景を何度も見たことがあるが、未だに慣れない。毎回物珍しそうに見つめていた。
「もう暗くなってきました。歩きながら話しましょう」
薄闇はあと数分もすれば夜に変わるだろう。
ジェイドを先頭に一行は歩き出す。
この時行きとは違い、フロイドとユウは並んで歩いていた。何せ糸があるもので。
フロイドはユウの歩く速さに揃えながらも、時折「小エビちゃん遅ーい」と野次を飛ばした。
「糸が見える原因ですが、恐らく"想い"が具現化したんでしょう。
想いの強さが形となった。心当たりがあるのでは?フロイド」
「え、何怖っ。ジェイド怖っ」
「フフッ」とジェイドは笑う。
恐らくジェイドは先程フロイドがユウに告白をした事を知っているのだ。
ユウは頬に熱が集まるのを感じ、俯いた。