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【ツイステ】引き合うさびしさの引力

第4章 マザーとグースとお嬢さん



1人残されたユウはまた空を見て、そして目を閉じる。
そして思った。
今日はあまり良くない日だ。と。

良くない日というのは不運な日というわけではなく、気持ちが不安定な日のことを言う。
お腹の奥がもやもやぐちゃぐちゃし、気を抜くと涙が溢れてしまいそうになる。
たまに、ユウにはこういう日があって、でもそれは"向こう"にいた時にはほとんど見られなかったことだ。

やっぱり、辛いんだろうな。と、ユウは人ごとのようにそう思った。


暫くユウは芝生に横になり目を瞑っていると、誰かがこちらに近づいてくる音がした。
サクッと芝生を踏む音。

ゆるゆると瞼を上げ音のする方に顔を向けると、

「何だ、もう昼寝か?」

そこには紙袋を持ったジャミルが立っていた。


ジャミルの姿にユウは慌てて起き上がり、手櫛で髪を整える。
鏡がないのでちゃんと整ったのかはわからないが、それでも触った感じは朝整えた時と同じようであった。

「こっ、こんにちは。ジャミル先輩」

ユウの声が少し裏返る。
それに対しジャミルは「何故今更俺なんかに緊張する?」と、口元を押さえ小さく笑った。
その仕草がとてつもなく様になっており、ユウはボッと顔に熱が集まるのを感じ、すぐに俯いてそれがバレないようにした。
赤い糸が見えるようになってから、ユウは一度もジャミルに会っていなかった。
廊下ですれ違う事もなかったし、だからと言って会いに行こうにも理由がなかった為、結局会わず仕舞いだったのだ。






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