第14章 夢みていたのおとぎ話の世界 2
放課後行われた何でもない日のパーティーには、マロンタルトが並んだ。
ハートの女王の法律ではそれは違反らしいのだが、規則が緩められた今ではマロンタルトが何でもない日のパーティーに並んでも首を刎ねられることはない。
美味しそうなタルトに紅茶、テーブルコーディネートはとてもオシャレでこちらの世界で言うならマジカメ映えしそだ。
「さあ、何でもない日のパーティーを始めよう」
そう、リドルの掛け声で、何でもない日のパーティーがはじまった。
グリムは早速マロンタルトを皿に取ると、ガツガツと音がしそうなほどがっついて食べる。
ユウはその横で、お上品にタルトを口に運んだ。
マロンタルトは"あの時"と同じくとても美味しい。ユウは一口一口、この味を忘れてしまわないようによく味わって食べた。
その様子を見ていたトレイが、クスリと笑う。
「随分味わって食べるな」
眼鏡越しに細まる目は優しげだ。
「トレイ先輩の作るケーキは絶品ですから、ゆっくり食べたいんです」
口の中にあったタルトを飲み込んでから、ユウは朗らかに笑う。
それに便乗して、ケイトがスマホ片手に「そーそー、トレイくんって本当凄いよね!味だけじゃなくて見た目もマジカメ映えバッチリだよ!」とパシャパシャと写真を撮った。