第14章 夢みていたのおとぎ話の世界 2
「いちごのタルトじゃないか?寮長の好物だし」
「えー、美味しいけど、前もそれだったじゃん。
ユウは何がいいとかある?」
「私は……マロンタルトがいいかな。
美味しかったし、それに……一番思い入れがあるから」
「あぁ、あれね。あん時は大変だったよなぁ」
「リドルのヤツがオーバーブロットした時はどうなることかと思ったんだゾ」
「でもあの時のお陰で寮の規則が多少緩くなったからな。今思えばいい思い出だ」
「うん、一生忘れないと思う」
「一生は大袈裟すぎじゃね?つってもオレも忘れないかも」
エースはノートから顔を上げ、くるりとペンを回すと、丁度チャイムが鳴った。
チャイムと同時にトレインが入ってくる。
「では、授業を始める」
トレインの腕には今日もルチウスが抱かれていた。