第2章 第55回壁外調査

「……っ、」


巨人はうなじを削がない限り死なないはず。

けど、殺すのは勿体ない…

ここで動けるのは私しかいない…！


「…ペトラ！ファジーをお願い！！」

「…えっ、サリー！？何を…」


私が、あいつの足首を切ってやる。

そしたら時間稼ぎが出来るはず…！

焦るペトラに馬の手綱を託し、立体機動装置を巨人に目掛けて発射する。


「ミケさん！時間稼ぎしてきます」

「…おい！サリー！！」


ミケさんの言葉を無視して、巨人へ向かう。

くそっ…こいつの動き、不規則だ。


「…お前を生け捕りにしてやる…！絶対！！」


私に足を取られている巨人の足首を切る。

巨人は見事に転け、私は地上に降りた。


「サリー！乗って！！」


ペトラが引いてくれていたファジーに飛び乗る。


「…ペトラ、ありがとう！」

「ほんとサリーって無茶する！」

「生きてるからいいじゃんかー」

「そんな危ない橋ばっか渡ってるとすぐ死んじゃうよ！」

「……うぅ」


陣形は乱れずにすんだ。

あとはアイツを巨大樹の森に……


『東の方角に、赤の煙弾を確認！！』

「…っ……」



嘘……囲まれてる…

団長は…どうする…？


撤退すると思いきや、緑の煙弾を確認したのは
私たちが今向かってる方角。

このまま突っ切るつもりなんだ。


「……絶対生き残ってやる…！」


ファジーを全速力で走らせる。

巨大樹の森はすぐそこだ。