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捻れた世界で誰と踊る?【ツイステ】

第18章 抱擁メルティ!【Floyd】



監督生はその薄くて広い胸に飛び込んだ。

ギュウ、と今日は自分から"絞める"つもりで。


「あは。小エビちゃんって太陽の匂いすんね」
「おひさまの匂いっていうことですか?」
「わかんねーけど。海にはないカンジ〜」

あったかかった。

好きだなって思った。


「…あ!」
「なにぃ」

監督生は突然、なにかを思い出したようで、ソワソワしながら言った。

「あ、あの!ちょっとここで待っていてもらってもいいですか?見せたいものがあるんです」
「え〜なんで。まだギュッてすんの」
「お願い、すぐ戻りますから」
「どんぐらいすぐぅ?」
「1分で」
「やだ」
「えぇ…」
「ん〜…わかったよ。小エビちゃんがゆうならガマンしたげる。」

オレえらぁい。オトナじゃ〜ん。
とドヤ顔をしたので、彼女は笑いながらオンボロ寮の中へ駆け出した。

「はやくねぇ」とフロイドが言うので、30秒くらいで何かを抱えて戻ってきた。
両手で抱えるくらいの大きさをした、箱だった。


「?なぁにそれぇ」
「どうぞ」

フロイドは渡された箱を見て、監督生の顔も見た。

「開けていーの?」
「はい」

箱の上から掛けられた包み紙を剥がす。

途中で、フロイドは直感した。

あ、これ靴だ。

この箱は靴の箱に違いなかった。


カパ、と蓋を開けると白い薄葉紙の間から、チラリとロゴマークが現れた。

「エッ」

このロゴは。

「えオレの好きなブランドじゃね」

監督生の顔とロゴを二度見して、中のものを取り出した。


「あ〜〜〜〜〜〜〜コレぇ」


出てきたのは、紛うことなき新品のバッシュ。
しかも、フロイドが欲しがっていた最新作だ。
たしか、今日発売の。


「オレが欲しかったやつじゃん〜〜なんで」


フロイドは宝物を見つけたみたいに、目を輝かせた。
何度も何度もロゴを確認して、色んな角度からシューズを眺めた。

「ヤバ。超かっけぇ〜。スゲー。サイズオレにピッタリじゃね?ほら。」

珍しく、フロイドの喋るスピードがちょっとだけ早くなる。
口数が多くなる。

小エビちゃんこのラインカッコよくね?
中敷までオシャレだよ、見てぇ。
と。
少年の顔をして喜ぶのだ。


好きなものを追いかけるときの男の子って素敵。と監督生は思う。



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