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捻れた世界で誰と踊る?【ツイステ】

第18章 抱擁メルティ!【Floyd】



監督生はその時、夢から覚めたような気持ちを味わった。


そうだわ、フロイド先輩はあの子たちの言うようにかっこいいんだわ。

ナイトレイブンカレッジには私しか女の子がいないけれど、もしもあの学校みたく共学だったら。

他にも女の子が居たなら。

フロイド先輩は、それでも私を選んでくれる?


彼は、会場中の視線と声援を浴びて、堂々としている。

それに引き換え私は。


あの人の彼女だと、胸を張って言えるだろうか。



・・・


「…ヤキモチを妬いたの。それで一昨日の件も相まって、フロイド先輩に当たってしまって」

つまりは監督生の自信の無さ、ゆえのささやかな嫉妬であった。

学園を一歩出れば、自分だけのフロイド先輩ではなくなってしまう。独り占めできなくなる。

それが悔しかったから拗ねていたのだ。


「え…?」
「ごめんなさい、はずかしい」
「ヤキモチぃ?小エビちゃんが??」

マジで。

小エビちゃんもオレと同じように、オレがモテんのやだって思ってくれたの?

なんか、それってうれしいかも。


「小エビちゃんヤキモチ妬いたの。ふぅん。」

顔の皮膚と筋肉がやわやわととろけていくみたいだった。
フロイドの意志とは関係なく、ニヤけてきた。
声も勝手に甘ったるくなった。

小エビちゃんが、ヤキモチ妬いてくれた!


「あっ。…笑いましたね」
「やオレもとからこの顔だから。真顔だからゼンゼン」
「うそ。酷い、約束したのに。」
「あはー。笑ってねーし。あは」

監督生が珍しく、片頬を膨らませてフロイドの腕をペタペタ叩いてくる。
全然痛くなかった。
なんだかこんな触れ方をされるのは新鮮で、フロイドはアハハと笑っていた。

「つか小エビちゃん、もしかしてさぁ」
「はい」
「きれいになりたい〜ってゆってたのも、オレのためなの?」
「…そうです」

へぇそっかあ。とギザ歯の生える口を三日月みたいな形にして笑顔を作った。
単純に、滅茶苦茶嬉しかったのだ。


「ええと。フロイド先輩。それでね」
「うん。なぁに」

フロイドは自分でも可笑しいくらいに穏やかな猫なで声を出した。
小エビちゃんの腕を引き寄せて手を繋いだ。

小さな子どもの話に耳を傾けるような気持ちで、彼女の顔をちゃんと見た。

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