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捻れた世界で誰と踊る?【ツイステ】

第14章 略奪ライアー!【Trey】





「あ、そうだトレイ先輩」
「どうした」

二人きりでケーキと紅茶を囲む、いつもの時間。

監督生は紅茶を啜りながら思い出したように言った。


「今日、エースに」
「うん」
「私とトレイ先輩が付き合ってるって噂になってる。…って言われたんですよー。ふふっ」

一体誰が言ったんでしょうね、と笑う。

しかし、トレイは笑わなかった。


「何言ってるんだ?」
「?」
「付き合ってるだろう?俺たち」
「え?」



(そんなに赤く塗られたいか?)



トレイはこっそりと、テーブルの下でマジカルペンを振った。


白い薔薇を赤く塗るように、塗り変わってしまえばいい。

誰かが俺たちの関係のことで『嘘』を言ったんなら、『真実』にしてしまえばいいだけだ。





「…あ!そうでした!私、トレイ先輩と付き合ってるんだった!」



ほら。


どうして薔薇を赤く塗るのかって?

"間違って"白い薔薇を植えてしまったからさ。

大事な秘密がバレない様に、薔薇を赤く塗るんだ。




「監督生、教えてくれ。お前の好きな人は?」

彼女はふふ、と小さく笑った。

「トレイ先輩ですよ。もう、知っているくせに。」
「よくできました。」


トレイは大きな手でわしゃわしゃと監督生の髪を撫でた。

「きゃ、今ので前髪崩れた…まあトレイ先輩だから許しますけど。」
「はは。」


トレイは徐にギュッと監督生を抱きしめた。

「わっ、なんですか!」
「いいや、何でも。」
「うふふ、珍しいですね。」

これで完成、とトレイは思った。

彼女は、元の世界で恋人と見た風景、貰ったプレゼント、一緒に過ごした思い出、そして彼への恋心。
それら全てを自分への感情だと思い込んでいる。

嘘が実になった日であった。


なんでもある日バンザイ。

トレイは顔半分を歪ませてニヤリと笑った。




さあ、仕上げにもうひと手間。





























「ドゥードゥル・スート【薔薇を赤く塗ろう】」



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