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【HQ】喧 嘩 止 め た ら 殴 ら れ た !

第4章 喧嘩は二度と止めたくない。



 皆喜んでる、点を取るたびに。隣の弟は時々独り言を呟きながら休む暇もなくノートに何かを熱心に記載してる。度々大きなカメラ器具が視界に入るたびに、時々春高ということの大きさを実感した。アナウンサーらしき人、カメラマン、見るからに偉そうな人、長身の選手、丸い着ぐるみを着た人間、その他多数。こんなすごいところで(春高に)うちの高校は毎年世間の光を浴びていたなんて想像もしていなかった。

 そりゃあ、有名にもなるよなと思った。まさかそんなすごい人と、同じ学校で、同じクラスで、目の前の席に座ってて。話したことあるあるなんて、ファンからしたらきっと羨ましい展開だろう。漫画のような話だ。

「ホテル戻ってる」
「え、姉ちゃん見ないの?」

うん。帰る時連絡してね、先にホテル戻るから。と弟に助言をするとわかってなさそうなゆるい返事が返って来る。「あんたに何かあったら私のせいになっちゃうんだからしっかりしてよね」と再び念を押し私は立ち上がった。

「それに私、バレーとか分からないし」

 立ち上がって荷物をまとめると、私は観客の邪魔にならないようにギャラリーから抜け出した。

〝『思い出なんかいらん』〟

 その弾幕に視線を向けながら、私は静かに階段を下った。
 泣いてる人達、円陣を組んでいる人、インタビューを受けている人、記念撮影をしている人。今この場所は、高校生活のすべてをかけた希望と後悔の狭間で揺れている。例えるなら卒業式終わりにみんなで名残惜しそうにする。そんな空気感だ。

「あの!」

 突然背後から呼び止めるような声がする。自分かもしれないと控えめ気味に振り返ると、二人の女の子と目が合った。

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