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【HQ】喧 嘩 止 め た ら 殴 ら れ た !

第2章 夏に濡れ衣ぎを着させたい





「この後の予定なんだけど、どうする? それとももう帰るん?」
「いいや、片づけだけでも行こうと思ってる」
「おー……あ、え?」

 よさこいの衣装のままだったことに気づき、手ぶらにも関わらず持ってもない荷物を探り始める。
 あかん、ミスったな。戻れば多分予備のクラスTシャツあるんやけど。

「戻るまで俺の着る? 俺下に薄いの着てるし」
「……いいよ。このままいる」

 予想だにしなかった回答に俺は突発的に声を漏らした。水田さんが不満げに「何?」と疑問を飛ばす。

「いや……、目立つ、で?」

 混乱で一瞬、今までどうやって喋ってたんか分からんくなった。予想していた回答とは真逆、それも今まで選択権すらなさそうな回答が飛んできた。
 だって、水田さん今自分の服見てみ? よさこいの服来とるんよ? なんか耳も生えとるし、空気よんで言わんかったけど小さい鈴とかリンリンってさっきから鳴っとるで?

「そのダサいクラスTシャツより、よさこいの衣装の方が可愛い」

 そう意地悪げに、でも楽しそうに目じりを細め水田さんははにかんだ。学校ではそんな笑わんのに。
 でも、元気になったんならそれでええ。もう泣いてるとこも見たくあらへんし。

「お前も十分共犯やないかい」

 俺も同じように笑った。
 その後、よさこい衣装のまま二組へと集合した水田さん、するとすぐに女子達が華やかなよさこいの衣装に釘付けになり、水田さんの為に取っておいた数本のフルーツ飴を手渡した。

 クラスの皆で記念写真を撮り終えた後、市長のご好意で皆に配られたのは今テレビCMで有名なスポーツ飲料だった。

 そしてその後、水田さんのところに弟(ついでに侑)が迎えに来た。
 侑が嬉しそうに肩を組んでいる一方で、無愛想にフルーツ飴を頬張る水田さんの弟。水田さんは弟が侑の餌食になったことを知り膝から崩れ落ち、角名はそれを面白そうに笑っていた。


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