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【HQ】喧 嘩 止 め た ら 殴 ら れ た !

第1章 喧嘩止めたら殴られた。





「治くん呼んでんで、誰やろ? うちは違うと思うで、唯か愛さんちゃう?」

 紙パックの牛乳を無心で吸い続けているとそう不意に問いかけられる。
 最初はいつも通り「私じゃないと思うよ」と無意識に返事をしたのもつかの間、自分に思い当たりがありすぎてハッ、となると同時に牛乳が変なところへ入りそうになりゴホゴホと噎せ返る。突然せき込む私に「どうしたの⁉ 大丈夫?」と慌てて駆け寄り心配そうに背中を擦ってくれる。………確か、最後に話した会話は入学当初私が日直で提出物を集めてる時だった。

『よろしくな水田さん』
『うん、ありがとう宮くん』
『治でええよ』
『…うん、わかった』

 これだけなんだよね。だから約1年ぶりの会話になるといっても過言ではない。私はもしかすると前世で治くんの親でも殺したのかな? それは謝る、謝るよ。だから昨日のことをここで切り出すのだけは本当にやめてほしい。

 そう神頼みをしてもきっと神様は私なんか気に留めないに決まってる。せめてもの救いでちょっと唱えてみただけです。

 問題はここからだ。この先、どう策略しよう? 場所を変える? ……いいや。それはかえって周りからの注目を浴び兼ねない。リスクがでかすぎる。じゃあ、しらばっくれる? ……それもだめだ。余計なことまで話すことになってしまい余計に治くんと長居することになってしまう。つまり、ここで一番最も最適な行動は――。


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