第3章 放浪記
「アレを放って置いたらどうなるんじゃ。」
「まあ単純な話、傷口がまた開いたら今度は死ぬかもな。」
頂上戦争から2週間、
やっとルフィの意識が戻ったのだが、彼は起きて早々に「エースはどこだ!!!!!!!」と叫び、今は女ヶ島のジャングルの中で暴れ回っている。
ハートの海賊団の船員がなんとかして取り押さえようとするがそれらを薙ぎ倒して好き放題だ。全く手に負えない。
ルフィの無事を確認できればこの島に用は無いのだが、今あの状態を無事だとは到底思えないためまだ離れられずにいた。
「……」
トラファルガーの言葉に少し考えるそぶりを見せた後、ジンベエさんは船員達を制してルフィの後を追った。
「お前は行かなくて良いのか」
トラファルガーが不思議そうに見つめてくる。
確かに一応“姉”という立ち位置ではあるが、彼のそばに行く資格など無い。そもそも私はルフィに何も言ってやれない。ジンベエさんに任せるのが得策だろう。
『ジンベエさんがいれば平気よ。』
答えながらさりげなく、つなぎを着た大柄な男の人の影に入る。確か、名前はジャンバールだったっけ。
「能力の副作用か。
“100年の命”がお前にあるとはな…」
『聞いてたの?』
大方ジンベエさんとの会話を聞いていたのだろう。まあ、別にもう隠すようなことではないから良いのだけれど。
私が影に入っただけでそれに気づくのは鋭いな、と感心する。
『トラファルガーは欲しいと思う?
命の恩人だしあなたにならあげてもいいかも。』
冗談混じりでそう言うと、トラファルガーは何やら怪訝そうな表情で私を睨んできた。
「そんなの必要ねェ。
だがお前の能力には興味ある。」
『“100年の命”に興味がないならこの能力には何も残ってないわ。あなたの能力の方が面白そうじゃない…
??』
突然遠くから海王類の苦しむ声が聞こえた。
ジャンバールの背中から少し顔を出して海を見ると、遠くの方で海王類一匹の死体が浮かんでいた。
と思うと岸の方から何か人の気配を感じる。
武器が手元にないため一応武装色の覇気を身に纏い、その姿が現れるのを待った。