• テキストサイズ

《イケメン戦国》時を越えて

第7章 時を越えて〜顔合わせ〜


「そう。三成さんの言う通りだ。道場に現れて男たちを捌きまくるその様子が噂になって、いつしか『平成の巴御前』と言われるようになったらしい。」
「へー、そりゃすげーな。でもなんで佐助がそんなこと知ってんだ?」
「俺も剣道をやっていたからね。俺の通う道場にも舞さんが来たみたいだけど、運悪く俺は手合わせできなくて残念だったよ。」

それを聞いた舞、政宗、家康の3人は
「………」
「お前がやり損ねた残り1人ってのが佐助なんじゃないか?」
「俺もそう思います。」
「……かな…」
苦笑いした。

「勝負しとかなくて良いのか?」
政宗が尋ねると
「うん。」
と答える舞。
「せっかくだし、制覇しとけば?」
家康が勧めるが
「ううん。本当にいいの。元々、制覇することが目的だった訳でもないし…。」
「そう。」
「うん。政宗に負けた後に思ったの。私は勝ちたいんじゃなく、負けたくて挑んでたんだなーって。」
「負けたくて?」
「そう。剣道は好きだけど、強い自分にコンプレックス…劣等感?引け目?を感じてた。男の人より強いなんてかわいくないでしょ?実際『男より強い女なんて』って言われることもあったし…。」
「そんなの弱い男が悪いだろ。」
「うん。私もそう思ったから、自分より強い人じゃなきゃ!って必死になってた気がする。『誰でもいいから私を打ち負かして!』って心のどこかで思ってた。でも、なかなか思うように行かなくて…それでいろんな道場を回ったの。」
「うん。まあ、そうなるだろうね。」
「だから、政宗に負けた時は嬉しかった。…政宗は本気じゃなかったでしょ?でも、手加減してる訳でもなくて私のレベル…ええと、力量に合わせてくれてた。相手の力量に合わせられるって事は、それだけ余裕と力の差がある証拠だよね。『ああ、この人は私の何倍も強いんだ』って圧倒的な力の差を見せつけられたら、それでスッキリしたの。だから、もう自分より強い誰かを探すのは終わり。」
「なるほどな。まあ、そこまで余裕だった訳でもないけどな。」
「ふふっ。伊達にたくさんの人と打ち合って来た訳じゃないから、相手の力の出し加減くらいは簡単に見極められるよ。」
「ふっ、そうか。」
「うん。本当に『参りました』って思ったよ。政宗以外の人たちにも敵わないだろうし、自分より強い人が周りに何人もいるなら頑張って強くいる必要はないでしょ?すごく楽になった。」
/ 336ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp