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《イケメン戦国》時を越えて

第20章 時を越えて〜分岐〜秀吉ver. ※R18あり


そう言って頭を下げる氏由に
「弟や妹たちを残して家を出た俺こそ詫びなければなりません。本当の母ちゃんの姿を知ろうともせずに、恨んで恥じていた己を情けなく思います。…藤乃、置いて行ったりしてごめんな。」
秀吉が逆に頭を下げて藤乃に謝る。
「お前だけじゃない。俺たちも同じだ。母を恨み、父親が違うと思い込んで兄弟たちを嫌った。真実を知ろうともせずに逃げたことを今でも悔やんでるよ。」
「兄貴…」
藤之助の言葉に、藤二郎も藤子もやりきれない表情で肯く。
すると
「過去は過去です。今、私はとても幸せ。だから、兄様たちも姉様もお父様も、もう悔やむのは止めてください。皆が笑ってないと母様が悲しみますよ?」
藤乃が答える。
「「「「藤乃…」」」」
「そうだな。俺も今すごく幸せだ。その幸せが続くように前を向かないとな。」
秀吉が言うと
「うん」
藤乃がニコリと笑い、釣られたように皆も微笑む。
たくさん遠回りした家族の幸せがそこにあった。

そして
「父上、俺はこれからも『豊臣秀吉』として信長様にお仕えして行きたいと思っています。だから…」
そう切り出した秀吉に
「分かっているよ。今のお前があるのは信長殿のおかげだということも、お前がどれだけの苦労を重ねて今の立場になったのかも。こちらのことは気にすることはない。家督は氏道(藤之助)が継ぐし、氏景(藤二郎)もいる。お前が案ずることはない。」
「父上…」
氏由が答える。
「それに今や『豊臣秀吉』は日ノ本中に名を轟かせる名武将。そんな私たち家族の誇りでもあるお前を、わざわざここに留めようなどとは誰も思ってはいない。織田軍での活躍を皆、願っている。」
「…ありがとうございます。」
氏由の言葉に秀吉の目頭が熱くなる。

「これからは、織田軍と北条家の繋ぎ役として力添え頼むぞ。」
藤之助が言うと
「ああ、もちろん。氏直殿の妻がお市様である限り織田と北条の関係は良好だが、もっと強固なものとなるように尽力する。」
「ははっ。『泣き虫藤吉郎』が頼もしくなったなあ。」
藤二郎が言うと
「兄ちゃん!昔のことだろ!」
泣き虫だった幼い頃のことを持ち出されて焦る秀吉。
「そうそう。泣いては母ちゃんに甘えてたわよね。」
藤子も揶揄い出す。
「藤吉郎は母ちゃんが好きだったもんなあ。」

「……////」
顔を真っ赤にして黙り込む秀吉を、舞は微笑んで見ていた。
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