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《イケメン戦国》時を越えて

第18章 時を越えて〜分岐〜信長ver.中編 ※R18、R20あり


舞に悩みを打ち明け、思い切り泣いたお市は、自分でも驚くほどに気が楽になった。今まではどうしても受け入れられなかった側室のことも、『それはそれでしょうがない』と割り切れる気持ちも湧いて来た。そんな風に思えるようになったのは舞のおかげ。お市はそれまで以上に舞を慕うようになった。
「舞様とお市様は、本当の姉妹のように仲睦まじいですね。」
食事中も楽しそうに語らう二人を見て、三成が微笑んで言うと
「そうだな。お市様も舞といる時は寛いだ表情だし、気を許しておられるのだろうな。」
秀吉も同意する。
「…」
家康は何も言わなかったが、舞の存在がお市の憂いを晴らしたと感じ取り、安堵していた。それは、信長も信興も同じ。お市を安土へ連れて来て良かったと心から思っていた。
そんな和やかな空気が

「申し上げます!」

慌てて飛び込んで来た家臣の一言で一変される。

「申してみよ。」
信長が言うと
「はっ。北条氏直殿と氏房殿が対立し、互いに戦支度を始めたとの伝令が届いております!」
「「「「ーーーっ!!」」」」
「なんだと?!」
その報告に皆が息を飲む中、唯一、信長が声を上げる。

「光秀」
「御意」
光秀はその一言だけで、全てを理解し動き出す。
「秀吉と政宗は出陣準備にかかれ。氏直に援軍を送る。家康は駿府に戻り救援体制を整えろ。三成は城の備蓄を確認し報告せよ。」
「「「「はっ」」」」
そうして皆、バタバタと動き出した。
「お市様…」
話を聞き、震えるお市を舞が抱きしめる。
「大丈夫。きっと大丈夫です。」
舞がそう言うと、お市はただ肯いた。

「舞」
立ち上がった信長が舞に声をかける。
「はい」
「市を頼んだぞ」
「はい」
そう言って肯き合うと、信長は信興とともに広間を出て行った。


ーーー小田原城、本丸御殿。
「氏直様!どうかご決断を。」
そう詰め寄る家臣たちに
「氏房が挙兵する目的は?」
尋ねる氏直。
「お子のいらっしゃらない氏直様を当主の座から引きずり下ろし、氏房様、ゆくゆくはご嫡男をその座にとお考えです。」
「そうか…。」
「御側室の件を急ぎましょう!氏直様にお世継ぎがお生まれになれば、いや側室様がご懐妊なさるだけでも氏房様への牽制となり、黙らせることができるはず。」
何がなんでも側室をと勧める家臣に
「その件は任せると言ったはずだ。」
そう言うと、氏直は自室へと戻って行った。
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