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《イケメン戦国》時を越えて

第15章 時を越えて〜分岐〜幸村ver.中編


「…家康…ありがとな。」
「…別に。俺は事実を言っただけ。」
プイッとそっぽを向いて言う家康の耳が赤い。
「素直じゃねーな。」
「うるさい!」
「ぶっ、アハハハッーー。幸村と家康は仲良しなんだね?」
「「仲良しじゃねえ(ない)!」」
「ほら、やっぱり仲良し。ふふっ。」
「「……」」
納得いかない二人だったが、舞が嬉しそうに笑うので
「「ぶっ、ハハハハッーー」」
二人も笑った。

「ところで、舞。」
「うん?」
「いつ目覚めたの?」
「えーと、幸村が来る少し前?」
「へーえ」
「村正がペロペロ舐めるからくすぐったくて。」
「「はっ?」」
「村正が頬を舐めるのがくすぐったくて目が覚めたの。」
「「……」」
「お前たち、犬に負けたからと言って落ち込むな。」
「「……」」
「くくっ、最大の好敵手は村正だな。」
「ウォン!」
「はあ〜」
「なんだ。この村正に対しての虚しい敗北感…」
部屋が微妙な空気に包まれたその時

スパーンッーーー
襖が勢いよく開く。
皆が振り向くと

「舞さん!幸村!」
佐助が勢い良く二人に駆け寄って来た。
「二人とも良かった…」
そう言って真顔で迫って来る佐助に
「佐助…こえーから。」
「さっ、佐助くん、近い…」
二人が言うと
「ごめん。あまりの嬉しさについ興奮してしまった。…ううっ、良かった。」
そう言って、佐助が眼鏡を外し涙を拭う。無表情が常でいつも冷静な佐助のそんな姿に、舞も幸村も目頭が熱くなる。
「佐助くん…ありがとう。心配かけてごめんね。」
舞が佐助の手を握りそう言うと、佐助は
「…うん。二人とも、本当に良かった。」
と嬉しそうに言った。

「村正も良かったね。」
「ウォン!」
今度は村正を撫でながら言う佐助に
「村正はどうやって助かったんだ?」
幸村が聞く。
「村正に射たれた矢に塗ってあったのは、『強い痺れ薬』だった。」
「痺れ薬?」
「うん。体内に入ると体の機能を麻痺させるもの。だから、村正は仮死状態になって呼吸も止まったんだ。」
「それなのに死ななかったのか?」
「『仮死状態』だからね。薬が切れたら自然と目を覚ましたよ。」
「へー。そんな薬があんのか?」
「普通なら、体内に入った時点で体の全ての機能が止まって死んでる。でも村正は体が大きいから、効きが弱まって、死に至るまでにはならなかったんだ。」
「そっか。」
「うん。」
「良かった。」
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