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《イケメン戦国》時を越えて

第15章 時を越えて〜分岐〜幸村ver.中編


ーーー翌日。
光秀と三太郎は出立する前に舞の部屋を訪れていた。笑顔で迎えた舞に
「俺たちは今から立つ。戻るまでいい子にしていろ。」
と光秀が言った途端
「……」
舞の表情が沈む。記憶はなくとも、舞は光秀と離れることが不安でしょうがなかった。そんな舞の様子に気付いた光秀が、
「俺の首に腕を回せ。」
と言う。言われた通りにすると、寝たままの舞の体をぐっと持ち上げ、抱きしめた。
「案ずることはない。すぐに戻って来る。俺が戻るまでに少しは元気になっていろ。」
そう言って頭をポンポンされ、舞は光秀の腕の中で肯く。そして
「光秀さん、三太郎さんも…無事でいて。」
と小さな声で言った。
「舞様にお願いされたら、断るわけには行きませんな。必ず無事に戻るとお約束します。」
三太郎が笑顔で答えると、舞もようやく笑った。
「じゃあ、行ってくる。」
「行ってまいります。」
「いってらっしゃい。」
褥の中で二人を見送った舞は、二人が去った後、寂しくて不安でしょうがなくなった。涙が頬を伝いそうになったその時、
「舞、入るぞ。」
幸村が顔を出した。

枕元までやって来た幸村は
「どうした?寂しくなったか?」
と優しく舞の涙を拭ってくれる。
「あいつらなら無事に戻って来る。それまで俺が側にいるから、心配すんな。」
そう言うと、舞の手を握ってくれた。
「…ありがとう。」
幸村の大きな手と、その温かさに安心する。
「幸村の手、あったかいね。」
舞が言うと
「おー。ずっと握っててやるから少し寝ろ。」
そう言って、舞の頭を撫でる。その心地良さに舞は目を閉じた。

「…寝たか」
舞が寝息を立て始めると、握っていた手を離し、起こさないようにそうっと立ち上がる。
「すぐ戻って来るからな。」
そう声を掛けると、幸村は部屋を後にした。

ーーー半刻後。
「んっーー」
目を覚ました舞は、足元に感じる温かさに気付く。
「あれ?なにかいる?」
そう呟くと、足元の温かさが消えた。すぐに起き上がれない体で、精一杯足元を確認しようとすると
ーーペロッ
「きゃっ」
手の甲を何かが触った。驚いて声を上げた舞の目に映ったのは
「村正!!」
そう、村正だった。

「ウォン!」
返事をするように一啼きすると、今度は舞の頬をペロリと舐める。
「くすぐったいよ!」
笑いながら言う舞に
「謙信様に許可もらって連れて来た。」
と幸村が言った。
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