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《イケメン戦国》時を越えて

第14章 時を越えて〜分岐〜幸村ver.前編


「ーーーっ!…み…つひで…さん…ど…して…」

開いた襖の先に立っていたのは光秀だった。
驚いて目を見開く舞を真っ直ぐに見つめ、歩み寄って来る。
ーーー刹那
光秀が舞を掻き抱いた。
「全くこのバカ娘は…」
そう言う光秀の声が震えている。

「お前一人を背負うくらい、造作もない。」
「えっ?」
「お前が俺を案ずるなど、500年早い。それに、お前は弱くない。大丈夫だ。」
「…光秀さん…聞いて…?」
「ああ。良く頑張った。良い子だ。」
そう言って頭を撫でる光秀。
「……ううっ、うわぁーーん!」
舞は子どものように泣き出した。
大泣きする舞の背中を、いつかと同じように光秀が大きな手で優しくさする。

「ヒクッ、ヒクッーー…うっ、うっ」
次第に落ち着いた舞はポツリポツリと話し出した。
「この…時代に来て…光秀さんに会った時…ほ…んとは…嬉しかった。血が…繋がってる人に…会えて…。」
「ああ。」
「会えて…良かった。」
そう言って泣き笑いした舞を光秀は優しい目で見ていた。

そして
「舞、まだ不安なことがあるだろう?」
「………」
答えない舞に
「明智の血を未来永劫残す必要はない。血を残すためにお前が幸せになれないなど、本末転倒だ。」
光秀が言う。
「…光秀さん…」
「それに、確かに俺は妻を娶るつもりはないが、子は持てる。」
「えっ?」
「お前が好いた男と夫婦になれ。そして、子を成せ。お前が産んだ子を俺が養子に取って明智を継がせれば良い。お前の子なら明智の血が入っている。そうすれば、この先お前が消えてなくなることはない。」
「……なんで分かったんですか?」
「小娘の考えることくらい、手を取るように分かる。お前は特に分かりやすい。…何も案ずるな。」
「……」
「お前は何も考えずに、好いた男の子を20人でも30人でも産め。」
最後はそう言って、意地悪く笑った。
「そんなに産めません!それに、光秀さんはやっぱり意地悪です!!」
「そうか?でも、意地悪されるの好きだろう?」
「好きじゃないです!」
そう言って頬を膨らませる舞を見る光秀の目はやっぱり優しい。

「光秀さん、あんな顔もするんですね。」
家康が呟けば
「アイツは特に、そういうところを見せないようにしてるからな。」
政宗が答える。
「なんだか、感慨深いです。」
「そうだな。幸せそうだ。」
そう言う二人の目も優しかった。
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